緩慢な殺人

こないだの日曜日のことでございます。
部屋の掃除をしていたら呼び鈴が「ピンポーン」。
何だろうと玄関を開けてみたら、リュック背負った人当たりの良さそうなおばちゃんがニコニコして立ってました。


「アフリカに小学校を建てるために募金活動を行っています。こちらのコーヒーを買っていただいて、その7割が寄付金となります」
「えっと、お幾らなんですか?」
「こちらの箱*1がセットで6000円でして、2つセットで12000円になります」
「んー、ちょっと待ってくださいね……6000だったら何とかなるかな。1つください」
「はい、ありがとうございます。えっと、2つ買ってくださる方には、ご厚意と言うことで10000円にさせていただくこともできるのですが」
「んー……やっぱ今月苦しいんで、1つで」
「はい、ありがとうございます」


その後もおばちゃんがリュックからコーヒーを取り出すまでの間、和やかな談笑モード。
「ラフな格好ですけど、ひょっとしてお休みでした?」「いやぁ週末に弟が来るんで、ちょっと部屋の掃除を」「まぁ、うふふふふ」「あはははは」
その後、おばちゃんはコーヒーと「IRFF」と書かれたパンフレットを渡して帰っていったのでした。


6000円は正直高すぎると思ったけれども、俺はコーヒーを買ったんじゃない! 4200円分の心を買ったんだ! と思い納得していました。
IRFFが何かを知るまでは。


というわけで察しの良い方なら大体の事情は(3行目あたりで)お気付きでしょうが、こいつら統一協会です。
だーまーさーれーたー。
消費者センターの対策マニュアルにそのまま載せられるような典型パターンにドボンと嵌まってしまいましたのですよ。


一人暮らしの大学生にとって、6000円の買い物ってのは結構大きな買い物です。
卑近な例で申し訳ありませんが、こないだ買った5kgの米が2000円強でした。
6000円あれば、1週間ぐらいはゆうに食っていけます。


ここまで頭悪い騙され方をした私に大部分の非があるのは分かります。認めます。自分でも分かっています。
ですけれども、その、人間の善意を踏みにじるような活動が許せんのです。
そんなことしていると、そのうち善意の募金まで無くなってしまうかもしれないんですよ。
これでは緩やかな虐殺と変わりません。


実際に学校が建っているかどうかはこの際関係なくて、出資者の想定していない場所へカネの流れるルートができているのが問題、だと私は考えます。
統一協会にカネを流してでも寄付するかどうか悩むぐらいだったら、ユニセフに直接寄付するわー!
姑息だよね、最初に「統一教会ですが」って言えば、いくら私でも金払わないもの。


あと、運営側にも何割かは善意で動いている者がいるのも問題。
さっきのおばちゃん(多分信者)なんかも、本心からの善意で活動しているかもしれないわけで。
そうするとトイメンしている両者は純粋な善意から金品を受け渡していることに。
混じりっ気なしの善意で動く人の言葉って、割と無条件に信じちゃったりするもんですよ。
ある意味、両方被害者かもしれないです。


ああ! もう!
なんか言いたいことの3割も言えていないけど、ただただ腹が立つばかりなのでこの辺で。
せめて払った6000円の何割かは実際にどこかの小学校を建てるために使われることを願って、心を慰めよう。


お口直しに、1クリック募金をどうぞ。
あなたの1クリックで救われる命があるかもしれません。

*1:120*80*25mmの紙箱が6つ入ったパック。マイルド・キリマンジャロ・モカが2箱ずつある、らしい。