天空の花嫁 II

続き、の前に。


さっきパケ代確認したら預金の死亡も確認してしまいそうになったので、暫く携帯ではネットしないことにしました。→mixiのレスを確認できません。
メールでmixi日記を更新することは止めないので、お前らが「もう止めろ」と言ったって止められないぜ、げっへっへ。


さて。
もし何か緊急の用件があれば、ヤフーメールの方に連絡して下さい。
アカウント名はホットメールと同じ。アットマーク以下だけ「@yahoo.co.jp」に変えて下されば、多分届きますしきっと届きますから届け。


ちなみにここで言う緊急の用件とは、例えばLANケーブルの行方とか私の人生の終着駅の位置などのことです。
大至急お願いします。


というわけで、続き。

港/その2

「それじゃあ、さっきの船に乗ってたのはパパスさんだったのかい。ってことは、こっちの坊やは――」
 港の管理小屋に住み込みで働く管理人の男は、ゆらゆら体を揺らしているリュカを見て目を細めた。
「ああ、リュカだ」
「そうか、大きくなったなぁ。……はは、陸酔いかい?」
「そのようだな」
 大人たちの声をぼんやりと聞きながら、リュカは必死に酔いの覚めるのを待った。だが、意識すればするほど陸酔いは酷くなる。結局リュカは、波止場に立ったまま一歩も動けなくなってしまったのだ。
「あの船長とは古い馴染みでな。かなり無理を言って、こちらに寄ってもらった」
「道理で予定にない船だと思ったよ。それで、今度はどのくらいこっちに居られるんだい?」
「暫くは落ち着きたいな――リュカも大きくなったことであるし」
「おお、そうか! それはめでたい! それにしても、あの時の坊やがこんなに大きくなっているとはなぁ」
 よいしょ、と大儀そうに腰を落とし、男はリュカの顔を覗き込んでにっこりと笑った。
「久し振りだね、坊や。おじさんのこと覚えているかな?」
「え? あ……あの、はじめまして、じゃなくて……えと……」
 最初は、自分に話しかけられているとは気付けなかった。陸酔いで働かない頭を一生懸命動かそうとしたが、リュカには、目の前に急に現れたこの男が誰なのか、さっぱり見当もつかなかった。
 それでも慌てて挨拶しようと思ったのだが、何を言えばいいのか分からない。
 そんなリュカの様子を見て、男は、今度は大きく声を上げて笑った。立ち上がって、リュカの頭を軽くポンポンと叩く。
 頭が痛いのを堪えて、リュカは男の顔を見上げた。
「はじめましてでいいよ、坊や。君がこの港からお父さんと一緒に旅に出たのは、もうずっと昔のことだからね。坊やもほんの赤ん坊で、覚えていないのも当然だ」
「……そんなに、経つかね」
「何を言うんだい、パパスさん。あれは坊やがまだ乳飲み子だった頃だよ。あんたが酷い無茶をするって、みんな言っていた」
「……すまない」
「私に言ってどうするんだよ、坊やに言いな」
 非難めいたことを言いながらも、男の冗談めかした言葉にはパパスへの深い信頼が感じられる。手をリュカの頭に乗せたまま、遠い目で水平線を見つめた。
「それでも、旅を続けながら、男手だけでこんなに立派な子を育てちまうんだから。あんたも凄い男だよ」
「……ありがとう」
 男の言葉に、パパスも遠い目で答えた。懐かしさだけを見せる男の目とは違い、パパスのそれは何かを失くしたような、悲しげな気配を湛えているようにリュカは感じた。
「……さあ、せっかく無事に帰ってこられたんだ。そんな暗い顔をしないで、家に上がって土産話でも聞かせておくれよ」
「いや、しかし……」
「暫くこっちにいられるんだろう? 村には少しぐらい遅くなったって大丈夫さ」
「……では、少しだけ」
「あ、僕は、もう少しここで……」
「そうだな、坊やは暫く潮風に当たっているといい」
「そうか。ここは冷えるから、あまり長居はしないようにしなさい」
「うん」
 そうしてパパスは、男と一緒に小屋に入っていったのだった。

魔物

 どこまでも広がる大草原。視界の向こうには青々と生い茂る森が見え、そのまた向こうには天を衝くような雄大な山々が独りぼっちのリュカを見下ろしていた。
 陸酔いが治まるとすぐに、リュカは港を抜け出した。親切だが無遠慮なあの男が、少し苦手に感じられたのだ。
 もう一人でお買い物もできるし、これぐらいは大丈夫。すぐに戻ればお父さんにもばれない筈。
 そんなことを考えながら、リュカは拾った木の棒を振り回して草原を走り回った。ときどき石に蹴躓いて転んだりもしたが、寝転がる大地が温かいのが何故か嬉しくて、大きな声で笑った。
 そのままごろりとひっくり返り、仰向けになって空を見た。
「はあ……久し振りにいっぱい走った気がする」
 大きな船だったが、子どもが力一杯走り回るほどの空間は流石にない。のびのびと思い切り体を動かすのがこんなに楽しいことだとは、リュカは今まで知らなかった。
「空があおーい! 海みたいだ」
 笑いながら、ごろごろと地面を転がる。草が潰れ、服に擦り付く匂いが心地よかった。
「ははは……え?」
 遠くで、がさり、と音がした。父かと思って港の方を見たが、そちらには誰も立っていない。
 慌てて立ち上がった。拾った木の棒を構えて辺りを見回す。
「誰?」
 問い掛けるが、返事はない。いつでも逃げられるよう、じりじりと少しずつ港に後退していく。
 あと二十歩ほどで港の小屋に辿り着く。さっと振り向いて駆け出そうとした瞬間だった。不気味な声と同時に、何かが背中に体当たりしてきた。
「ピキーッ!」
 草むらに倒れ込みながらも、素早く振り返って背後を確認する。
「も、モンスター」
 青い、透明なゼリー状の体に間抜けな顔がついている。それは、スライムと呼ばれるモンスターだった。


このあとパパスが駆け付けて助けてくれるよ。←飽きた