携帯アプリのキャラでエロパロスレに投下しようと思ったけどやめて2chSNSに投下しようと思ったけど忘れて送信トレイの肥料になっていた話(スタブ)

元ネタはVアプリケータイ少女」。
21歳未満が見たら呪われます。

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「こ……これで、いい?」
「……うん。凄く似合ってるよ、巴さん」
 尋の言葉を聞いて、沙代は耳まで真っ赤に染め上げた。俯いて、必死に恥ずかしさを堪えているようだった。
 普段寡黙な沙代がここまで恥ずかしがるとは、思いもしなかった。
 そのことにもまた、尋は深い感動を覚えている。生きててよかった。
 ありがとうビクトリアンメイド服。


 少し時間は遡る。
 沙代の部屋。ここで尋は、彼女の服を見せてもらうことになっていた。正確には、ロリ以外の服を。
 沙代はいつもロリータファッションをしている。去年のイブのデートではチェックのシャツに膝丈ジーンズを身に着けていたが、それも一度きりしか見ていない。
 ひょっとしてあれは一張羅だったのではないか。そう思って聞いてみたが、沙代の答えはノーだった。
「よかったら、家に来る? 服、見せてあげる」
「え、いいの?」
「うん。放課後、一緒に行こう」
 こうして、突発デートのかたちで、沙代のお宅訪問が決まった。


 圧倒された。
 それは、まさに大豪邸だった。
 四百メートルレーンが三つは並べられそうな庭を横切った先にある玄関。そこで尋は、巨大な虎の剥製に出迎えられた。こんな剥製を置いたら、それだけで尋の部屋なんかは一杯になってしまいそうだ。
 沙代の部屋もやはり広い。部屋の真ん中にグランドピアノが置いてあり、近くに小さなテーブルと椅子が並んでいた。
 沙代が言うには、ここはリビングらしい。沙代だけの為のリビング。
 あっちの扉はベッドルーム、こっちの扉はバスルームと説明する沙代が、まるで違う世界の生き物のように見えた。
「……どうか、した?」
 ずっと反応がなかったことに心配したのか、沙代が不安げに尋の顔を覗き込んだ。
「あ、いや、凄いね」
 思わず言葉が出ない。
「そう……?」
「なんて言うか、俺みたいな庶民がこんなところに居ていいのかなー、と」
「うん。尋さんは、私の大切なお客様だから」
 そう言われても、整然と並ぶハンガーの列を見ると、流石に気が引ける。
 それを見た沙代が、少しだけ誇らしげに言った。
「これが、私の衣装部屋」
「……本当に凄い部屋だね」
 圧倒されつつも、気合いを込めて部屋に一歩踏み出す。恐る恐る、衣装を見てまわる。
「うわ、いつものゴスロリ、本当に何着もある」
「そっちには別のもある。……ほら」
「本当だ。こっちのも、同じのが何着もあるんだね」
 見渡す限りのゴシックカラーにくらくらしたが、ふとここに来た目的を思い出す。
「ロリータじゃないのは何処?」
「こっち」
 ハンガーの林を掻き分けながら言われた方に向かってみると、確かにロリ以外の服が並んでいた。ロリータに比べれば大分と数は少ないが、それでも尋の服全部より多そうだった。
「意外と、カジュアルなのも持ってるんだね」
 一着、ハンガーを手に取ってみる。フード付きのパーカー。
「こういうのも着ればいいのに。イブに着てたやつ、似合ってたよ」
「尋さん、ロリータ嫌い?」
「あ、違う違う、そういう意味じゃなくて。たまにはカジュアルなのも新鮮でいいかな、って」
「……分かった」
 真剣な顔で悩みだした沙代。真面目なのはいいが、少し尋の言葉に従順すぎるきらいがある。
 黙り込んでしまった沙代を促して、尋は衣装部屋の探検を再開した。
 まさにカオスだった。
 万国衣装博覧会の様相を呈するこの部屋からは、白雪姫みたいなドレスや振り袖、そしてチャイナドレスなんてものまで出てくる。ここの衣装でファッションショーを行ったら、さぞかし珍妙な光景が広がることだろう。
「何か、気になった服はあった?」
「あー。いや、まあ、気になるって言ったらみんな気にはなるけど」
 言いながら、ちょうど目の前にあった服を手に取る。アオザイ。こんなの、いつ着るんだろう。
「そういうの、好き?」
「いや、ははは……」
「……ついてきて」
「え? あ、うん」
 壁際のクローゼットに向かう沙代。その扉を開けると、ツンとした防虫剤の匂いが広がった。
 紺色のシンプルなロングドレス。袖はワイシャツのような白いパーツがついている。ドレスの隣りには、白いフリルのエプロンとカチューシャが並んでいた。
 いわゆる、メイド服だ。
「まだ、一度も袖を通していないけど。尋さん、こういうの好き?」
 思わず唾を飲み込んだ。メイド服を着た沙代を想像する。
 隣りのリビングで、優雅に紅茶を飲んでいる尋。そこにメイドの沙代が入って来る。彼女はいつもと同じ笑顔を、旦那様である尋に向けるだろう。
 その先を考えてみる。彼女に紅茶のお代わりを頼む。すると彼女は快くティーポットを持ってくるだろう。