週刊ゴング

コンビニで何気なく週刊誌棚を見たら、ゴングの表紙に踊る「重大発表」の文字。嫌な予感を覚えつつ手に取りページをめくると、やはり「休刊」と書かれていた。何か込み上げるものがあって、思わず500円玉を持ってレジに向かった。


週刊ゴングを読むのは何年振りになるんだろう。確か、最後に手に取ったのは、僕がまだ中学生の頃だった。
あの頃はさほど格闘技に興味がなく*1、親父がときたま買ってきたゴングを暇潰しに読むだけだった。それでも「獣神サンダーライガー」や「グレートサスケ*2」ら有名選手の記事には心揺さぶられる。今では失礼ながら両選手とも落ちぶれてしまった感があるが、あの頃の彼らには輝く何かがあった。


それから暫く経って親父はゴングを買わなくなり、プロレス界には冬の時代が来た。
新日お家騒動があった。引退した猪木がでしゃばりはじめ、新日のチビ社長が目につくようになったのも確かこの頃のことだった。初期のNOAは本当に酷い状態で。今でこそスター選手に返り咲いた三沢だが、最初彼がリングに戻ってきた時、僕は「今更よぼよぼのタイガーマスクを担ぎ出してどうするのだ」と鼻で笑ったものだ。
それがどうだ。新日本プロレスは凋落したが、NOAは次第によい試合が増えた。ハッスルの新機軸も面白いし、大阪プロのドルフィンも成長した。
これからだ。これからまたプロレスは面白くなっていくのだ。
そんな中でのゴング休刊は、非常にショックだった。


確かに、最近ゴングを見ないと思っていた。本屋にもキオスクにも売っていない。
だがそれは僕がゴングをよく探していないからだと思っていた。
マイナーな雑誌だから出荷を絞っているのだろう。発売日には棚に並んでいても、コアなプロレスファンが通勤時に買っていくから、僕が見るときにはもうみんな売り切れているのだ。
そう思っていた。
思っていたのに。
今はただ寂しい。


休刊号だからか、それともずっと前からこうだったのか、この中身のない本を、僕は、暫く捨てられそうもない。

*1:今だってそんなに詳しい方じゃないけど。

*2:当時はまだ現役レスラーだった。