円環少女(3) 煉獄の虚神(下)
昨日読んだ本。
- 作者: 長谷敏司,深遊
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: 文庫
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メイゼル帰還があっさりしすぎかなあ、と思った。思ったけど、この巻の主役はグレン・ケイツ兄弟だったろうから、他のイベントはこれぐらいあっさり風味でもよかったのかも。
ケイツの小さくて汚くて惨めな姿は確かに僕の胸を打った。
ところで僕ったら、上級聖騎士エレオノール・ナガンが生きていたことに驚きを隠せないのですが。彼女、バベル事件で死ななかったっけ?
確認しようにも、今、1巻が手元にないのだ。
ところでついでに、閑話をもう一つ。魔法消去の発動条件がいまいちよく分からない。
悪鬼に観測された魔法が「時間も空間も遡って」消去されるなら、聖書や各地の神話伝説に魔法の爪痕が残るのはおかしいし、そもそも1巻で瀕死の重傷を魔術で治療した仁は、治療室を一歩出て十崎京香に挨拶した途端に死なねばならない。魔術師どもは悪鬼に観測された途端に魔術ゲートを通って魔術世界に強制送還、公館も必要なくなりめでたしめでたし。
これじゃあ物語にはならないのだ。
これまでは「地獄の摂理としておかしくない状態で安定した魔術(の結果)は消去されない」と思って、勝手に納得していた。聖書しかり、仁の怪我しかり。
既に起こってしまった結果は崩せないのだ。
が、3巻クライマックス、グレン・アザレイはその「起こってしまった結果」を悪鬼に観測され、そこから遡って魔法を消去された。どうにも納得のいかない。
魔法消去に関する設定は素晴らしいものだと思うけど、(実際はそうでないにしろ)後付けで設定が増えていってるように見えるので、混乱してしまうのだ。魔法消去に関しては1巻に出ている説明だけで過不足なかったのに、あまり欲張らなかった方が良かったんじゃないかなあ。