兎と獅子

一週間ぐらい前。


妹「にーちゃーん、チェスやろー」
俺「できるの?」
妹「覚えたー。○○(弟)兄ちゃんに教えてもらった」
俺「分かった。でも俺、たぶん弱いよ」


というわけで対戦開始。
ナイトとルークを並べ間違える俺。笑ってそれを直してくれる妹。
チェスなんてやるの、何年ぶりだろうか。
辛うじて駒の動かし方は覚えていたので、以後はスムーズにゲームが進行した。


妹「ナイトもらいー」
俺「あー」
妹「兄ちゃん、もう大駒はルークしか残ってないやん」
俺「最初にクイーン取られたのが痛かったなぁ。ところで、○○(弟)ともやってるの?」
妹「うん。○○兄ちゃんには勝てないけど、パパにはたまに勝つ」
俺「そっかぁ、強いなぁ。というわけでチェック」
妹「え?」
俺「いや、だから、チェック。つーかチェックメイトだよね、これ」
妹「え? え? ……ちょっと待って!」
俺「待ったナシ。まぁゆっくり考えるがよい」


結局、どう駒を動かしても妹の負けが確定することを、泣く泣く認める妹。
もう一戦しよう、と言っても口を聞いてくれませんでした。


そして、さっき。


妹「兄ちゃん、リベンジ!」
俺「めんどい」
妹「リベンジ! リベンジ!」
俺「……はいはい」
妹「今度は手加減なしね! 全力で来てね!」
俺「はいはい」


言われたとおり全力で行ったら、おかんにまで怒られた。